昨日は体調不良の中で「円山」に登りながらも、春の爽やかな花たちに癒やされてしまいました。帰宅すると、結構、筋肉痛になっていましたので、明日は静養日にしようと心に留め就寝しました。ところが、翌朝は青空に映える木々と若緑が眩しい山なみが眺められます。
春の花々が咲き誇る「藻岩山」へ
雲一つない青空にほんのりと白い半月、目をよく凝らさなければ気づかない白い月です。朝食を取りながらベランダ越しに眺めていると、昨日の筋肉痛は何処かへ飛んでいます。じっとしていられないアウトドア派の私は、いそいそと身支度をし「藻岩山」に出かけてしまいました。
「慈啓会病院」登山口から
今年初「藻岩山」は平日にもかかわらず、駐車場は満車状態です。半年ぶりの「藻岩山」をかみしめながら、ゆるやかな斜面の登山道を歩き始めました。ずっとニリンソウの道が続いています。正直、殆ど期待していなかった山野草。
所々にヒトリシズカが、ここでは静かというより賑やかに咲いているではありませんか。目をこらさないと見逃してしまいそうなマムシグサも。成るほど、「藻岩山」は、昨日登った「円山」と植生が殆ど変わらないようです。
これまで何度も「藻岩山」には登っていますが、山野草には全く注目していませんでした。同じ山に登っていると、いかに短時間で登るか、ということばかりが関心ごとでした。足場を気にして下ばかり見ながら歩いていましたので、周りなど殆ど見ずにいたことも原因かと納得してしまいます。
更に、山野草は期待できない山と思い込んでいたのかもしれません。ところが、種類は決して多いとはいえませんが、改めて、花の豊かさに驚かされてしまいました。
日本初のスキーリフト跡地です
頂上まで約3キロメートルの道のり、その3分の一付近に「日本初のスキーリフト跡地」があります。戦後、駐留軍用に整備され、今はただ跡地としてスキーリフトの山頂原動やステージ(降り場)の基礎部分が残されています。まあ、なんと贅沢なことを。そこから、「馬の背」へと少しなだらかな道が続きます。花の盛りを終えたエゾエンゴサクとスミレが可愛らしさを誇っているかのようでした。
馬の背から頂上へ
頂上へ向かう幾つかの登山道の分岐点、馬の背です。一休みするにはお誂えの場所ですが、一気に進みました。途中、ニリンソウに見とれ立ち止まり写真を撮っていると、山野草に詳しそうな中高年男性が声をかけて下さいました。シラネアオイとオオバナノエンレイソウが咲いている場所があるとか。まさか「藻岩山」でシラネアオイが見られるなんて想像もしていませんでした。
昨年、「滝野丘陵公園」で観察しましたが、今年は諦めていたのです。観音像(お地蔵様)14、19、22番を過ぎたところとか。観音像を確かめながら進むと見つけました。何と凄く急な土手で、危ない、危ない。しかし、どうしても写真が撮りたくて近づき、やっとの思いで撮ることができました。あわや転がり落ちそうで危なかった。
19番付近は更に急勾配の土手で諦めるしかありません。ただ眺めるだけにし、なだらかな道を22番付近まで進むと、何とその脇に咲いているではありませんか、シラネアオイが。危険な思いをせずにここで十分だったと、思いつつゆっくり撮らせて頂きました。
札幌周辺に自生しているエンレイソウは、えんじ色の花ですが、オオバナノエンレイソウは白い花が特徴です。そのオオバナノエンレイソウを見つけましたが、見落とされそうなくらいのほんの数本足らず。それにしても、先程教えてくださった方は山野草にお詳しいし、記憶力抜群。毎日のように登っていらしゃるのでしょうか。それとも植物の専門家?花がアジサイによく似ているオオカメノキも見つけました。八甲田山の登山で知った樹木です。
最後の九十九折りのきつい登りを辿ります。いつ来ても辛い最後の登りに、ため息が出てしまいます。やっと頂上にたどり着きました。ぱっと視界が広がり、青空がすぐそばに迫ってくるようです。この瞬間が満足感と達成感をおぼえさせてくれるのです。
頂上の展望台から
展望台から、遙か、暑寒別連峰、樺戸連山、芦別岳、夕張岳、大雪連峰、トムラウシ山、日高山脈、紋別岳、樽前山、恵庭岳、空沼岳等と懐かしい山々をぐるっと見渡すことができました。殆どクリアしている山で、あの頃はまさか将来思い出として眺めるようになるなんて、想像もしませんでした。
それぞれ登った時の一コマ一コマを、昨日のことのように思い浮かべることができます。暫く、登山で訪れた者だけが独り占めできるこの景色。ロープウェイは目下休業中なのです。
なぜ、山に登るのか、1.とにかくひたすら数をこなす 2.自分の体力の限界を確かめる 3.のんびりと季節の変化をかみしめる(山野草、樹木、野鳥、小動物)。最近は勿論紛れもなく3です。
下山時、多くの登山者と行き交いましたが、三密からはほど遠いにも関わらずほとんどがマスク姿でした。自分自身を含めて。