難しいテーマですが、ドイツ・ベルリン在住のアーティストと植物分類学の学者の方との考え方について興味があり学ぶ機会を得ました。
自然・人為・循環 アーティストと水草研究者による石狩川をめぐる考察
○日時:2025年6月21日(土)12:30〜14:00
○ところ:札幌市民交流プラザ札幌図書・情報館1階サロン
○スピーカー:谷口顕一郎(アーティスト)
○モデレーター:藤沢礼央(札幌市立大学デザイン学部講師)、佐藤康平(札幌文化芸術交流センターSC A R T S)
*入場無料、予約不要(定員50名 先着順)
○ 谷口顕一郎さん
自己紹介として:学生時代は、絵画と彫刻をしていた。具象から特定の彫刻に変わっていった。穴ぼこにはまり込む作品、ひびや曲り・くぼみをモチーフにし、拠点をドイツのベルリンにした。オランダのロッテルダムにボイマンス・ヴァンベーニング美術館がありここでは凹みに凹みを嵌め込む作品を大切にしている。(「凹みに凹みをはめ込む」とは、独特な感性の持ち主では・・・と、思いました。)
今回は、「石狩川凹みリサーチプロジェクト」岡崎文吉のための凹みスタディ・石狩市観音橋2014に興味を持ち、調べることになった。「北海道石狩川図」は分断し残された三日月湖が点と点とが繋がり線となり石狩川になった。第1回は2022年に始まった。流れがゆったりとして、母なる川を感じとることができた。第2回目は、源流からやってみた。源流域で行い熊が怖いので作品はだんだん小さくなってきた。上川町マクンベツ19線官官設渡船場跡2024年。
個展「凹みスタディ井上川大雪祭 上川町大雪高原旭川」、彫刻「石狩市観音橋」、個展「凹みスタディ井50」✖️上川大雪祭 上川町大雪森のガーデン
○山崎真実さん
コウホネなどの水草が凹みを埋めるその営みとは?
水草とは、ハス・ジュンサイ・ヒシ・コメなどを言い、どこにでもあり当たり前なものだからこそ生物の生活・命を支えている。千歳川にはバイカモもが生息し、石狩川は一面ヒシで埋め尽くされている。浦臼町の西沼では、それが顕著。札幌市のモエレ沼は、石狩川と豊平川の合流地点で水草で埋め尽くされている。
なぜ水草は水中で生きられるのか。長い年月をかけて体を変え水中に生きられるように環境に適応し変化した。生活スタイル(生育系)は、湿原や湿地帯の注水植物ヨシ・マコモ・ガマ・コウホネ、浮遊植物 岸辺ウキクサ・マリモ・タヌキモ、芙蓉植物 水中ヒシなど。モエレ沼は上記が全て見られるところ。
なぜ、北海道に泥炭地が多いのか。植物が枯れ水分の多いところにたまっていく。水中には酸素がないので、酸化しない。長い年月をかけて陸と海の循環で札幌扇状地ができた。豊平川の流水が変わり1万年前〜4千年前〜2千年の間に川筋が変わってきた。石狩川当別町は、凹み文脈そのもの。石狩川の流水は蛇行していたので、治水工事や護岸工事で人為的に変化してきた。人為と自然の作用によって変化してきた。
自然を認識しやすいために分類していく、名づける、存在を与える。分類学には、ルールがある。並べて比較する。人生の100年には、計り知れない営みがある。自分にもルールを化して・・・。
今回の公開講座で、アーティストと学者との「歪み」の捉え方の違いに興味がもてました。