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日記

「カラスの常識」(柴田佳秀著 寺子屋新書)を読んで、人間にとっては非常識?カラスへの数々の疑問と改めて学んだこと

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夏場のジョギング中に、不意に急降下し頭上をかすめ飛び去ったカラス。頭上で突然聞こえたガサッという音に驚かされたこと何度。頭をつつかれないで良かったと安堵したのですが、なぜ襲われたのか疑問に思いました。私は狙われやすいのでしょうか?その件以来、ジョギングコースを変えたのですが。

冬場、行動は目立たなくても、季節を問わずゴミステーションを荒らすカラスたち。たちと付けたのは単独犯ではなく複数のカラスの仕業であることははっきりしています。雪の上にゴミが散乱し、食べ物だけをあさる利口なカラスたち。

全く、襲われた経験のない人もいると聴きます。カラスは顔を覚えているのでしょうか。それとも襲いやすい人間を識別しているのでしょうか。カラスと目を合わせない方が良いとか子育て中は気をつけろ等と言われています。どうも人間達からは厄介者に扱われているカラス。嫌っている人間のその一人として、少しでも本質を理解しなければと思いました。見方が変わるかもしれません。

以前、書店に「札幌のカラス」という書籍がありました。最近見つけたのが「カラスの常識」(柴田佳秀著 寺子屋新書)です。コロナ禍(第6波)のため自宅で過ごす機会が多い昨今です。疑問点について調べてみました。

「カラスの常識」(柴田佳秀著 寺子屋新書)より、これまで疑問に思っていたことや改めて知ったこと

柴田佳秀:1965年東京都生まれ。ジャーナリスト。東京農業大学農学科卒。生態学専攻。番組制作会社に勤務し、「土曜特集」「生き物地球紀行」「地球!ふしぎ大自然」などのNHK自然番組を多数制作する。2005年からフリーランス。著作『鳥の雑学がよ~くわかる本』、『わたしのカラス研究』等。

子供の頃のカラスのイメージは

この書籍を読みながら、子供の頃にカラスといえば「かーらあす、なぜ鳴くのー。からすはやーまーにー。」とか「ゆーやけこやけでひがくれてー、やーまのおてらのかねがなるー。おーててつないで、みなかえろー。からすといっしょにかえりましょー。」の詩に『カラス』が登場しています。夕方になるとカラスの群れが一斉に山へ向かって飛んでいく、その様子です。

この歌詞には「さあ、外で遊んでいる子供達、帰る時間ですよ。」の思いが込められています。山へ向かって遠くを飛んでいくカラスたち、目の前でカラスに会うことなどは皆無でした。カラスは現在ほど人間の生活の場には入り込んではいませんでした。では、なぜ現在はこれほど身近に?生活様式の変化にあるのでは、と考えます。

今思い起こしてみると、物がない時代で必要最低限の生活用品や家具しかありませんでした。大型ゴミとして家具を始末するなど考えられませんでした。生ゴミは家庭菜園の肥料に、紙くず類はストーブで燃やすというのどかな時代でした。総じて、今ほどゴミは出なかったのかもしれません。

ですから、生ゴミをカラスがあさるようになったのは時代の変化というか、人間の生活の変化からなのでしょう。石油製品からのゴミ、大型ゴミ、生ゴミ、その他・・・全てをゴミ収集車が集積するほどの大量なゴミ、大型化されたゴミ。カラスの常識を知って共存する方向で、そして人間自身の問題として自覚しなければと考えました。食品ロス、物の使い捨て、強いては環境問題へと広がっていきます。

人を襲う凶暴な鳥?

実際のカラスは、大変臆病で警戒心の強い鳥。その証拠に人と目が合うと大抵逃げていきます。繫殖期に防衛行動として巣に接近してくる動物を攻撃して追い払う習性があり、勿論、人間も含まれます。特にヒナの巣立ち前後は親鳥の警戒心が増します。

カラスの人への攻撃はごく稀で、長時間に渡って続くものではなく特殊な条件の時に限るそうです。数回襲われたことがある身にとっては、その特殊な条件の時にばかり出くわしてしまうのかもしれません。子育て中の6~7月は特に要注意とされています。

群れには「ボス」や「見張り」がいる?

「烏合の衆」という諺があります。ゴミステーションで「ボス」や「見張り役」といった一見役割分担があるように見られても、どんどん個体が入れ替わり一時的な個体間の優劣だけです。安全な時にさっさと食べて満腹になったたら飛び去っていくに過ぎません。

頭の良い利口な鳥?

「頭が良い。」とは、人間界では抜群の記憶力を持つ人をいうことが多いです。「鳥頭」とか「三歩歩くと忘れる」といわれている鳥ですが、カラスには当てはまりません。カラス研究者によると、「これをやったら、この後どうなるか」という優れた観察力+洞察力があり、他の鳥類には見られないようなカラス特有の知的行動を生み出しています。やはりカラスは頭の良い利口な鳥なのです。

カラスは黒いとは限らない?

真っ黒から不吉とか縁起が悪いとイメージしてしまいます。アジアに広く分布するコクマルガラスやその親戚のニシコクマルガラスという種類は後頭部が白く、冬に日本でも少数が越冬します。他にも世界には十種くらい、カラス全体の一割程度白黒のカラスがいます。

一度、「大通公園」で、歩道に横たわっていたカラスの胸とお腹付近が白色でした。初めて見ましたので、唖然としてしまいました、突然変異かなと。白黒のカラスの存在を知りませんでしたから。偶、渡ってきたカラスだったのでしょうか。

カラスの種類

カラス属と呼ばれる分類群では、40種ほどです。カラス属の特徴は、羽色が黒色または白黒でカラフルな鳥はいないこと。世界中に広く分布していますが、何故か南アフリカとニュージーランドには分布してはいません。カラスの起源がオーストラリア周辺だと考えられ、南アフリカまでは分布が到達しなかったこと。ニュージーランドでは絶滅したと考えられています。

日本で普通に見られるのは、ハシブトガラスとハシボソガラスの二種で、その他の種は冬に特定の地域に渡ってくる渡り鳥だったり、稀に迷ってくるらしい。

ハシブトガラスとハシボソガラスは日本では身近なカラスで、その名の如く嘴の太さで見分けられますが棲んでいる場所は異なります。ハシブトガラスは基本的に樹木がある環境ですが、なぜか大都市のビル街にもたくさんいます。人が住んでいるところが好きなようです。餌が豊富だから?ハシボソガラスは農耕地です。

砂浜や磯、港のどんな海沿いにもハシブトガラスとハシボソガラス、両方のカラスがいます。海岸にはいろいろな漂着物があり食べ物が豊富だからといわれています。

カラスと暮らす知恵

山ではクマの知識が必要なように、都会ではカラスの知識が必要でそれが都会に暮らす人間にとっての常識です。航空機へのバードストライク、送電線をショートさせる停電事故等も甚大。農作物食い荒らしは経済的な被害をもたらします。命にかかわる諸問題については各団体・企業の努力に任せるしかありません。

身近な迷惑としてあげられるのがゴミ問題です。一つはカラスにゴミを取られないようにする方法で、カラスネットやCDをぶら下げる等。二つ目はカラスにゴミが見つからないようにする方法です。袋の中の食べ物を見えないようにする、カラスよけネットや防鳥ネット。しかし、ネットが軽いとカラスにめくられてしまいます。

かご状タイプのネットや金属製ゴミ袋保管容器(マンション毎に多く見られます)が有効でしょう。札幌市では殆どかご状タイプのネットや金属製ゴミ袋保管容器です。マンション毎や地域毎に設置され殆ど散らされる心配はありません。ただごく稀にネットが被せられた状態なので、散乱しているゴミがあります。

カラスと暮らす賢い方法として

都市というのは、人間が快適な暮らしをするために環境を改変してきたので、人に都合の良いようにできています。人が望むものがいて、いては困るものはいません。だから理想的な自然を作るためにカラスがいては困るのです。

給餌にしても、追い払えないことにしても、根本的には野生動物とのつきあい方・共存の問題が潜んでいます。正しい自然観を身につけ、カラス側に立って考えることが大切です。これは人間関係と同様に自分の都合だけではなく、「相手の立場に立って考える」・・・。

身近なカラスとの共存問題として、生活ゴミをできるだけ最小限におさめる生活へ変えていく一人一人の心がけが現在世界中で叫ばれている問題解決への糸口となるのかもしれません。

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