雨交じりの「リラ冷え」の日々が続き登山から遠ざかっていました。6月の声を聞くと高気圧が張り出し夏空の趣です。「藻岩山」への登山道へ向かって歩いているだけでも汗が滲んできます。
春の花はまだ咲いているのでしょうか?期待しながら「藻岩山」へ
「慈啓会病院登山口」から登って
登山口へ一歩足を踏み入れると蝉の鳴き声が響き渡っています。季節は春から初夏へと歩みを進めているのです。緩やかな上りを進むとあれほど咲いていた「エゾエンゴサク」の面影は全くありません。所々に「クルマバソウ」がまだ存在感を示しています。少々寂しさもありますが、植物は既に夏への準備に取り掛かっています。
「スキーリフト跡地」から
始めは平坦な緩やかな上りから階段状の急登が次から次へと表れます。
目を凝らさないと忘れられそうに咲いている花たち
【マイズルソウ】殆ど葉だけになってしまった中の唯一見つけた花です。
【エンレイソウ】実ができています。
殆ど目立たなくなってしまった花たち
【ヒトリシズカ】「藻岩山」の「ヒトリシズカ」は群生していないので、花が咲いていると見つけやすいのですがやっと発見です。写真では目えづらく真ん中に実らしきものがあります。
【スミレ】数は少なそうですが、花期は春先からなので比較的長めのようです。
【フデリンドウ】花の直径は1㎝に未足らぬ極小。見落とされそうなあどけない花です。「藻岩山」でこの花の存在そのものに気づきませんでした。
【ニリンソウ】かつては至る所に咲ている「ニリンソウ」でしたが、極限られたところに見られました。次回の「藻岩山」登山では見られるかどうか。
「馬の背」から頂上へ
歩きづらい最も苦手な岩が露出した登山道です。自分自身に叱咤激励しながら進むと、最後の上りとなりました。頂上の展望台が見えるとほっとし、汗がどっと出ています。
「藻岩山」は春の花を楽しむことができた山から、初夏の山へと替わっていることを今更のように気づかされました。
頂上の展望台付近で休憩をしていると
後ろ向きになっているベンチで休んでいる登山者の会話が聞こえてきます。今回の登山は「藻岩山」なのに20キログラムの荷物を背負い、鉄アレイを入れる日もあるとか。その訳は、本格的な登山者で夏山登山に備え自主訓練中なのだそうです。来月には3泊4日で大雪を縦走し「トムラウシ山」へ向かうとか。
ここ数年の大雨や台風の影響で登山道が荒れ東大雪の「ニペソツ山」やいくつかある「トムラウシ山」への登山道も通行不可となっていたらしいのです。今シーズンの登山予定は「トムラウシ山」「ニペソツ山」「羅臼岳」。会話を聞かせて頂きながら、たった一度きりですが登ってる山の話題なので懐かしくなりました。
羨ましいというより懐かしいという思いです。もう、再び登ることはないでしょう。あの頃は、また登れるかどうかわからないので、できる範囲でできる限りのことを、と考えていました。
頂上を目指す登山者が絶えない登山道を下山して
下山中も蝉の鳴き声は続いていました。登山口が近づくに連れ遠くから聞こえてくる救急車の音で現実に引き戻されてしまいました。春から初夏へと季節の歩みを進めている「藻岩山」です。