本書は書店の児童書籍コナーに並んでいました。児童書籍とはいえ年齢を問わず大人にとっても心に響いてくるものがあります。実際に読んでいるとあちらこちらでドキッとさせられてしまったからです。勿論、これから世の中を生きていく子ども達にとっては、読んだからと言って直ぐに身つくことではありません。
それにしても心の片隅に置いて欲しい事柄ばかりです。長い人生、知らず知らずのうちに身についていったり何かの折りに思い起こすことがあるのではないでしょうか。
著者の「高濱正伸」さんはNHKラジオ第一(月曜日~金曜日午前8:30~11:50)『らじるラボ 木曜日「どうしたの?木曜相談室」』で相談員をなさっています。好感がもたれる適切なアドバイスで人気があります。
「本当に幸せになるためには、メシが食える大人にならなくてはいけない」で始まります。厳しい世の中を生き抜くための武器として、大人になるまでに知ってほしい大切なことを1から50までの「よのなかルール」として記載されています。50全てとはいきませんが若干感想を記してみました。
☆よのなかルール1 いいことを言うよりも、よい行動をとる。
「不言実行」ですね。立派なことを言うよりまず行動で示してみようということです。行動に人柄が表れます。
☆よのなかルール2 すぐに「きらい」「苦手」と言って自分の世界をせばめない。
「きらい」「苦手」と言ってしまいがちです。言うと楽になると心の中で考えてしまうからでしょうか。それでは了見の狭い人間として観られがちになります。
☆よのなかルール3 「なぜだろう」と考える習慣を、身につける。
みんなが正しいと言っていることが本当に正しいとは限りません。「郷に入っては郷に従え」ではなく自分なりの考えを持とうと言うこと。
☆よのなかルール4 「失敗」を「失敗」のままにしない。「経験」にする。
何故失敗したのかを考え、それを経験として捉え次へのステップへ高みを目指します。
☆よのなかルール7 すてきな人に出会えるように、自分も「すてきな人」になる。
異性も同性も、類は類を呼ぶと言うことでしょう。気がついたら「すてきな人」の周りにたくさんの人が集まっているかもしれません。
☆よのなかルール11 話を聞くときは、ことばではなく相手の心にこそ耳をすます。
相手のことばや表情で心を読みとれる人、他人の心をわかってあげられる人になれるように。
☆よのなかルール12 自分のことばで話せる人になる。
相手に考えや気持ちを伝えるには自分のことばで話すことが大事です。それには感性を磨くこと。
☆よのなかルール17 まちがってもいいから、自分なりの答えを出す。
決断力が大切です。他人になびいたり曖昧にせず自分自身の考えで決断が必要なときにはキッパリと言える。
☆よのなかルール18 ことばに厳しく。
あいまいな表現ではなく、自分の気持ちに合うことばで伝える。
☆よのなかルール20 知らないまま、わからないままにしない。
わからなかったら、聞いたり調べたりしましょう。そのままにしておかないこと。
☆よのなかルール21 いいものにたくさんふれて「感じる心」をみがく。
音楽を聴く、絵画を観る、映画を観る、自然に触れる、旅行をする、読書をするなど豊かな体験が、五感を働かせ感性を磨くことになります。
☆よのなかルール22 強い体をつくる。
よく食べ、よく遊び、よく寝て強い体に健やかな心が育ちます。
☆よのなかルール23 起きる時刻を決める、守る。
良い習慣をは知らず知らずのうちに身に付いていくものですが、これは周りの大人(保護者)にも責任があります。育つ環境に影響されますから。
☆よのなかルール26 身近な人にこそ、ていねいな態度を。
「親しき中にも礼儀あり」です。ついぞんざいな態度になってしまいませんか、特に身近な家族や友だちに対して。身近な家族や友だちこそ「大切な人」なのです。
☆よのなかルール27 「わかってもらえない」とは言わない。
「わかってもらう」努力をすることが大切で、自分の言葉で話し気持ちを伝えよう。
☆よのなかルール28 「できません。」「休みます。」言いにくいことこそ、ちゃんと自分で伝える。
第三者を頼らず自分で伝えること。都合が悪くなるととかく言い訳しがちになりますが、それはなしです。
よのなかルール29 まず努力すること。努力が結果につながり、結果が自信をうむ。
コツコツと努力していると、直ぐには結果が出ない場合でもきっといつかどこかに現れてきます。努力は報われるものです。
☆よのなかルール30 他人を批判したくなったら、「自分はどうなんだ」と考えてみる
大人でも言えることです。とかく失敗したり自分自身に不可があると相手のせいにしたり陥れたりして、自身を正当化するための理由としがちです。冷静に考えると決してそうではなく、自分にも多分に落ち度があるにも拘わらず。
☆よのなかルール31 自分とはちがう意見にも素直に耳をかたむける。
「立場を変えてみると見方が異なると考える」、これはなかなか難しいです。自分のいうことだけが正しいと考えてしまいます。固執しない柔軟な捉え方ができるように努力すること。それには多方面にわたる読書が一番かもしれません。
☆よのなかルール32 「自分はひとりで生きられる」なんてかんちがいしない。
今ここにいる自分は、最初からたった一人でここまできたわけではありません。数え切れないほどに関わってきた人たちのお陰で今の自分があるのです。
☆よのなかルール33 「ありがとう」を口ぐせに。
全ての人が心に留めておくことで、この殺伐とした世の中が変わると思います。特にこのコロナ禍で感じます。感謝の気持ちは口に出さないと相手に伝わらない場合が殆どです。
☆よのなかルール34 あいさつは大きな声で、まっすぐに。
自分自身に対していつも心がけています。自分も相手も気分がスッキリとするものです。大きな声で言っても決して何かが減り損をする訳ではありませんから。
☆よのなかルール36 親より長生きする。
ドキッとさせられてしまいます。お子さんを亡くされた友人に心が痛みます。
☆よのなかルール37 「何に悩んでいるか」をことばにする。
ことばにすることで気持ちが楽になり、直ぐとは行かないまでも解決の糸口が必ず見つかります。
☆よのなかルール38 「後悔」はしない。でも「反省」はしっかりする。
ドキッとさせられる箇所です。「後悔」ばかりの人生にならないように、「反省」をすることで次へステップアップし道が開かれます。
☆よのなかルール39 コンプレックスを笑いに変える。
容姿や体の欠点にこだわり、落ち込んでいても仕方ありません。世の中全ての人が容姿端麗な女優やタレントだったら面白味がないでしょう。コンプレックスを「私って○○なんだよね。」と笑って言えると良いですね。
☆よのなかルール40 どうしてもツラいときには、逃げる。
自分自身が壊れてしまう一歩手前の手段です。壊れてしまったら元もこもなくなってしまいます。そうなる前に。
☆よのなかルール41 合わない人がいるのは「世の中の当たり前」だと知る。
合わない人がいるとは考えられないと思っていましたが、合わない人がいることこそが至極当たり前です。人生の中で半分も合う人がいれば万々歳ではないでしょうか。むしろ合う人の方が少ないのかもしれません。その中で如何に生きていくのか、八方美人になるのではなく柔軟さでしょうか。
☆よのなかルール42 最低限のお金は必要だと知る。
お金が全てではありませんが、湯水のように湧き出てくるわけではありません。身の丈に合った暮らし方があります。金銭感覚は子供の頃からの大切な躾として備わっていきます。
☆よのなかルール43 冒険する勇気をもつ。
「やってみたい」という思いを行動に表すには勇気しかありません。とかく失敗を恐れてしまうからです。
☆よのなかルール44 しかられることにくじけない。
時にはしかられることを恐れずに挑戦してみよう。これにも勇気が必要です。
☆よのなかルール47 ひとりの時間をつくる。
誰にも影響されないでぼーっとしている時間も大切です。そこで思いも寄らぬアイディアが浮かんだりします。
☆よのなかルール48 自分自身を研究してみる。
悲しい時、嬉しい時、腹が立つ時の自分自身を省みることで自分を知ることもできます。意外な面を発見できるかもしれません。
☆よのなかルール49 まず自分が幸せになって、それから人を幸せにする。
自分が豊かな幸せな気持ちでいないと、それを分け与えることはできません。人を幸せにするためにはまず自分が。
☆よのなかルール50 人生の主役は自分自身。人生の進路は自分で決める。
一度しかない人生、誰のものでもない人生なのです。決めて進んでいくのは自分自身です。決して他人のせいにはできません。厳しい世の中を強く生き抜いて行けるように。
監修者:高濱正伸「メシが食える大人に育てる」という理念の元、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。保護者などを対象にした講演会は、参加者が年間30000人を超える。数多くのテレビ番組に紹介されて大反響。『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』『小3までに育てたい算数脳』等、著書多数。