日記

「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」双葉社文庫 佐藤美由紀著を読んで

ホセ・ムヒカ(本名はホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ)はウルグアイの政治家で2010年3月1日第40代ウルグアイ大統領に就任。2012年ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連会議でのスピーチが世界中の人々を感動させ一躍時の人となった。大統領らしからぬ質素な暮らしぶりも注目され、世界でもっとも貧しい大統領と呼ばれるようになった。2015年に5年の任期を終え退任、一国会議員として現在に至る。

7歳の時に父親を亡くし、アルバイトをし家計を助けながら育つ。青年時代に格差のない社会を目指したゲリラ活動で逮捕され、13年間の獄中生活を送る。1995年選挙で初当選し、政治家としての道を歩む。

佐藤美由紀:広島県福山市出身、フリーライター 各種の雑誌や書籍に人物ルポや社会レポート等の様々なジャンルの記事を執筆

プロローグ

(2012年6月20日~22日ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで国連「持続可能な開発会議」にて、スピーチ)

かなりの長文にて、本書でご確認下さい。

<以下、引用>

第一章 質素の哲学

私は貧乏ではない。質素なだけです。(中東の衛星テレビ局制作番組より)

貧乏とは、欲が多すぎて満足できない人のことです。

私は持っている物で贅沢に暮らすことができます。(2012年11月15日付BBCニュースマガジンより)

質素は自由のための闘いです。(2012年11月15日付BBCスペイン語版より)

物であふれることが自由なのではなく、時間であふれることこそ自由なのです。(ベネズエラのテレビ局制作番組より)

私は消費主義を敵視しています。現在の超消費主義のおかげで、私達はもっとも肝心なことを忘れてしまい、人類の幸福とはほとんど関係ないことに、人としての能力を無駄使いしているのです。

人間のもっとも大事なものが生きる時間だとしたら、この消費主義社会は、そのもっとも大事なものを奪っているのですよ。

スーツケースはいつも軽めで必要な物だけ。物を持つことで人生を複雑にするより、私には、好きなことができる自由な時間のほうが大切です。

第二章 理想への闘い

余裕のある人は弱者を助ける義務がある。貧しい生活をしている人々の生活が改善されれば、我々の生活も良くなります。

人生はもらうだけでは駄目なのです。まずは自分の何かをあげること。どんなにボロクソな状態でも、必ず自分より悲惨な状態の人に何かをあげられます。(2014年12月4日BBC南米諸国連合会議でのスピーチより)

青少年時代は、当時の世界を変えたいという強い思いがあり、格差のない社会と自由を夢見ていました。(2013年9月24日第68回国連総会でのスピーチより)

英雄になるために刑務所に入ったわけではない。ただ捕まってしまっただけで、もっとスピードがあれば逃げられていました。

一度、その舞台に立ったら(捕まったら)、踊らなければならない。そして、鉄のように強く耐え抜くしかない。闘うことをやめたら負け。刑務所では、必ず自由になる日が来ると信じていました。(2014年5月14日世界銀行主催のプレゼンテーションより)

信念があれば、人間は強い動物です。

孤独は多分、死の次にもっとも悪いことです。しかし、私はその経験と時代を生きたからこそ、今があります。

私の人生は恵まれています。社会主義者として闘い、考えたこともなかった大統領というアルバイトをさせていただいている。我々の世代は世界を変えようとした。格差をなくす闘い、潰され、砕かれた。でも、私は、まだ夢を見ています。(スペイン国営放送局RTVEのインタビューより)

第三章 指導者の言葉

勝者も敗者もない。我々は支配者を選んだのではない。このことははっきり言おう。(2009年11月29日大統領選に勝利した際の会見より)

お金があまりに好きな人たちは、政治の世界から出て行ってもらう必要があります。(2014年10月22日付CNNスペイン語版より)

私は国民から離れることはできませんし、離れようとも思いません。壁をつくることで、国民は政治から離れていきます。もっとも良くないことは、国民から政治が嫌われること。そうなると、政治は失敗に終わります。

私たちが「世界にお金が足りない」等と言うのは、お金を出して解決できる人に要求ができず、その人のポケットに手を突っ込むこともできない。また、そうさせることもできない。政治的意気地なしだからです。だから私は政治にいるのです。だから政治の世界で闘うのです。(2014年12月4日南米諸国連合会議でのスピーチより)

ひとつ言えることは、弾圧だけでは問題を解決することはできない、ということです。この地球上で、唯一、価値のある中毒は「愛」だけです。(2014年2月1日付ロシアのニュース専門局RT記事より)

彼らが生きたいように生きられること。それがベストです。

地球は、地球全体、グローバルな法整備をする能力に欠けている。本来すべてをカバーすべき政治が弱体化しているからです。(2013年9月24日第68回国連総会でのスピーチより)

私は自身の信念を持って政治運営します。たとえ正しいことであろうと、間違いであろうと。それが自由ということだから。私の人生は常に批判を受け続けてきました。(2012年11月15日付BBCスペイン語版より)

二度目の人生があれば、また国のために闘うことは間違いありません。なぜなら、それが人生を最大限愛する方法だと、この約80年で気づいたからです。孤独を感じたとき、いつも温かく支えてくれた国民に深く感謝しています。(2015年3月1日最後の大統領演説より)

エピローグ

人生ではいろいろなことで何千回と転びます。愛で転び、仕事で転び、今考えているその冒険でも転び、実現させようとしている夢でも転びます。でも、千と一回立ち上がり、一からやり直す力が、あなたにはあります。(2014年12月4日南米諸国連合会議でのスピーチより)

<以上、引用>

上記に記した数々の名言にはそれにまつわるエピソードがあります。その中から、かいつまんでエキス部分のみを引用し記載させて頂きました。感銘を受け続けた名言は、ご自分が育った家庭環境、培われてきた思いや信念、それはたとえ社会主義国、自由主義国であっても、それを問わず一人の人間としての生き様から生まれてきたものです。

ご自分の言葉でそれらを語りかけることで人の心に響いてくるのです。どなたかが作られた難しい言葉を羅列した文を宛もご自分の考えのように演説をなさっては、真に人々の心の中に響いて来ないのではないでしょうか。

「世界でもっとも貧しい大統領」と呼ばれるようになった所以とは

一国の大統領とは思えぬ生き様を貫いたムヒカ。大統領官邸には住まず、首都モンテビデオ郊外の妻が所有する小さな農場で、現在も暮らしている。常緑樹に半分覆われた部屋は三つの小さな平屋。水道は通っておらず井戸から水を引いている。さび付いた金属板製ドアのあるガレージには1987年製パウダーブルーフォルクスワーゲン・ビートル。

それが彼の愛車で大統領専用車は使わない。家族は妻のルシア・トポランスキー上院議員と何匹かの愛犬。大統領の給料は29万ウルグアイペソ、日本円にするとおよそ102万円。そのうちの大半である23万ウルグアイペソを慈善事業と所属する政党に寄付し、残りの6万ウルグアイペソは貯金に充てる。貯金の目的は、将来、自分の農園に貧しい子供達を受け入れる農業学校をつくるためだ(学校は、大統領退任後間もない2015年3月、実際に開校された)。

生活費は月に1000ドル(アメリカドル)、日本円にすると約11万円で、「妻も上院議員として収入があるため、それで生活している」という。個人資産は2012年の確定申告によると愛車分の1800ドル。妻の資産を加えると21万5000ドル(約2365万円)。

個人としては愛車フォルクスワーゲン・ビートルのみなのだ。1987年製だから30年以上も乗っていることになる。日本での車は暫く乗ったりモデルチェンジしたら乗り換えると言うのが定番ではないのかと思う。最近は少し考え方が変化してきたかもしれない。今思うに、バブル期、我が家に車があった当時を思い起こしてみると非常に無駄な暮らしをしていた。それが当たり前の世の中だったのかもしれない。

一般的に、政治家ことに大統領となると多くの資産を持ち贅沢な暮らしをしているという認識がある。質素な暮らしぶり、決して多いとは言えない資産で、いつしか「世界でもっとも貧しい大統領」と呼ばれるようになったという。

ご自分の生き方を決して他者に強制してはいない。

 

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