公共施設が開館となり、ボランティア活動で知り合った方とお子さんの三人で「札幌市水道記念館」を訪れてみた。前庭は札幌の街を一望できる癒しスポット。過去の水道施設がモニュメントとして展示されており改めて近寄ってみると見応えがある。
夏に大人気の水遊びができる「噴水・カナール」は残念ながらお休み中。芝生の中にピンク色の可憐な花「ネジバナ」を見つけた。ねじれ具合が繊細で可愛らしい。久しぶりに見た「ネジバナ」に懐かしさを感じた。帰宅してから調べてみたところ、「ネジバナ」はラン科ネジバナ属小型多年草、別名モジズリで雑草。雑草だなんて。
エントランスから入り口へ。マスクの着用、体温測定、連絡先の記入、手の消毒を済ませ入館した。キャラクターウォッピーの給水コーナーが可愛らしい。札幌の水入りペットボトルとうちわを頂く。「札幌の水は自宅で蛇口をひねると飲めますが。」と思いながらも記念に頂いた。七夕飾りがあり季節を感じ取ってしまった。7日は旧暦の七夕で北海道ではこちらが一般的となっている。天の川を見られるだろうか、雨続きの昨今だが。エスカレーターで1階へ上がる。
水源の森と水工場、アクアタウン
自然豊かな札幌の森（水源の森）と水の関係を紹介している。定山渓ダムと豊平峡ダムに蓄えられた水が2百万都市を潤している。家庭に水が届くまでの仕組みや工夫を学べる水工場はパネルのみで体験箇所はお休み中。パネルの大きさで実際に働く人がその場にいるような錯覚をおぼえる。
サイエンスパーク、キッズルームはお休み中
楽しく遊びながら水について学ぶスペース（サイエンスパーク）と小さいお子さんの遊びスペース（キッズルーム）は多分密になるからだろう、お休み中。循環する水のように子供達が自由に動き回ることができる巨大ジャングルジム等の体験型も同様で一番楽しめる施設なのだが、この状況では仕方がない。
しかし、知人とお子さんは説明文を読んだり、クイズコーナーでチャレンジしたり、ビデオコーナーでさらに詳しく学んだりと、それなりに興味を示し満足していたようだ。
昨年は平日の「水道記念館」は、見学の小学生でいつも賑わっていた。子供達にとっては一つ一つが興味深くいくら時間があっても足りないようだ。知人のお子さんと見学してそれがよくわかった。大人の目の付け所と子供とでは違っているので、この施設はそれをうまく考え造られている。
日本各地の水がペットボトルで、個性あふれるご当地を反映したラベルが
戻ってきた地下1階のスペースにご当地自慢の水がペットボトルで並べられていた。日本各地の水の豊かさを物語っている。残念ながら育った地、千歳市の水は展示されていない。支笏湖の伏流水を源に内別川から千歳川へ流れている。全国名水百選にも選ばれ、正直札幌の水に勝るとも劣らない。夏でも蛇口をひねると冷たい水が喉を潤してくれた。水だけは自慢だったのに。
水道の歴史を学んで
ローマ水道 紀元前312年
世界で初めての本格的な水道はアピアス・クラウディウスによってローマに造られたアッピア水道。その後、226年までさらに10の水道が造られた。自然の傾斜を利用している谷間を渡る時には巨大な石の橋が架けられた。
イギリスの水道 1804年
イギリスのペーズリーで、現在のように水を砂で濾過する施設が造られた。これが近代水道の始まり。その後、産業革命で人口が集中したロンドンで下水で汚れた川の水から清潔で安全な飲み水を作る進んだ濾過技術が発明され、現在の濾過技術の原型となった。
日本の水道の始まり
日本の水道の始まりは､何と江戸時代。徳川家康が1590年、神田上水を造らせたのが始まりで水源の井の頭池から神田小川町まで水を送った。その後、玉川上水が造られ整備された。日本の近代水道は1887年横浜の水道で、開国後の日本でコレラやチフス等の伝染病が広がり沢山の死者が出た。
それがきっかけとなり濾過した清潔で安全な水道水を供給した。横浜に日本初の近代的な水道が造られ、函館、長崎、大阪、広島等の都市が整備されていった。
開国と同時に、疫病も開国してしまったのだ。まるで、現在の「新型コロナウィルス感染症」を思わせる。北海道の水道は札幌ではなく函館が発祥の地だったとは。
夏場の節水に一人一人が心掛けて
一度の入浴で200リットル、一回のシャワー（5分）で60リットル、一度の歯磨き6リットル、一度の洗顔12リットルの水道水を消費するそうだ。この夏場は特にその機会が多くなるので、節水には一人一人が心掛けなければならない。ペットボトルで可視化すると一目瞭然なのがわかった。