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日記

「野村ノート」野村克也著(小学館文庫)を読んで

投稿日:2020年6月13日 更新日:

書店で「やっと、入荷できました。」という張り紙の横に積まれていた本書。何気なく購入してみたが、読み始めると、野球の専門用語が多く失敗したかなと思ったほどだ。実際に野球を指導なさっている方にとっては参考になる書物だと思われる。プロ野球について、テレビ観戦程度だった私には難解の一言に尽きる。

一度何気なく読み終えた後、再度挑戦してみると愚痴っぽい野村克也さん、褒めない野村克也さんのイメージが一変した。哲学者的な野村克也さんの深い思いや考え方、賛美している選手たちについて書かれている。それをかいつまんで記してみることにした。あくまでもかいつまんで。

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「はじめに」から

親に楽をさせたいという思いが一流と呼ばれる人たちの原動力だった。一流と呼ばれる人間で親を大切にしない者はいなかった。親孝行とはすなわち感謝の心である。この感謝こそが人間が成長していく上で最も大切なものである。

①「人生」と「仕事」は常に連動している。②人生論が確立されていない限りいい仕事はできない。人間はなぜ生まれてくるのか。それは「生きるため」と「存在するため」。価値観と存在感で、それは他人が決める。他人の評価。③「目」(目の前つけどころ)、「頭」(考えろ、工夫しろ)、「感性」(感じる力、向上心、ハングリー精神)

④技術的能力の発揮「コツ」、「ツボ」、「注意点」⑤無形の力をつけよ。情報収集と活用、観察力、分析力、判断力、決断力、先見力、ひらめき、鋭い勘 以上のことを実行するためには、「当たり前のことを当たり前にやる」こと。

心が変われば人生が変わる

心が変われば態度が変わる。態度が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。運命が変われば人生が変わる。(もとはインドのヒンズー教の教えから引用)

人生という2文字から4つの言葉を連想して

「人として生まれる」(運命)、「人として生きる」(責任と使命)、「人を生かす」(仕事、チーム力)、「人を生む」(繁栄、育成、継続)人間とは人の間と書くが、人と人の間にいるのが人間であり、いかに人間関係を円滑に生きていくかということが、人生に大きな比重を占める。

野村さんの褒め言葉から

古田敦さんについて 自信家、過信家というほどやや自己中心的な性格をしているが、リードという点では探究心、向上心があった。何より野球に対する感性(センス)がよく頭脳明晰である。

清原和博さんについて 天性に恵まれた打者である。真っ直ぐを狙っても高めに変化球が抜けるてくると簡単にホームランすることができる。

イチローさんについて 最初は格好が先行していたが、努力することで中身が備わり今のイチローに行き着いた。今や彼の野球への姿勢に文句を言う者は誰一人としていないだろう。天才であることに間違いない。しかし、同時に凄い努力家だ。

松坂さんについて 日本を代表するエースと呼ぶに相応しい素質の持ち主である。まず何といってもストレートが速い。160キロ近い真っ直ぐを投げ込む。豪速球投手というと不器用な投手が多いが、松坂は変化球も多彩に投げ分ける。

人間学のない者に指導者の資格なし

抜きん出た能力を持つ、あるいはいい指導者に会う。そのことで選手として成長し、いい結果を残すことは可能だが、そうした選手が一流の指導者には決してなれるわけではない。一流選手が一流の監督にはなれないといわれるが、選手として一流だったから、指導者になれないといことはありえない。その選手が技術的に一流でも、一流の人間でなかった、だからリーダーとしてそぐわなかったということ。

終章

昨今、野球界は大変危険な状態に陥っている。野球人気の低下が叫ばれるように、巨人戦の視聴率が10%を割り、野球はもはや国民の娯楽に値しないほど落ちぶれている。これまでの巨人中心主義の弊害であり、テレビ放映権による巨額の利益など、巨人におんぶに抱っこの球界の体質が問題だ。

野球というスポーツの特性が誤って広まっていることも人気低下の一因だ。野球は「間のスポーツ」であり、投手(捕手)と打者の心理の絡み合いが「野球の妙」でありドラマを生んできた。最近のテレビ中継、新聞報道にはこの「野球の妙」がない。解説者はただ選手を褒めちぎり、結果論で選手評価をする。

人を評価するには基準や根拠が必要だが、それが見当たらない。結果について場当たり的に自分の感想を言うだけ。そういう解説を聞かされては、学ぶものは何もなくただうるさいだけで、視聴率は下がる。野球は「間のスポーツ」すなわち「心理のスポーツ」という本質をこの本を読むことで改めて実感してほしい。

しつこいようだが、かなりかいつまんで記している。是非本書をお手に取り詳細について実際に読んでいただきたい。野村克也さんは、選手として、選手権監督として、監督としてさらに、解説者として長年に渡りプロ野球に対してご尽力されてきた。野球人というより、「野球哲学者」と言っても憚らず。

読後に、私事で余談ですが・・・

プロ野球に関しては、気がつくと巨人ファンになっていた。夫のテレビ観戦というと、有無を言わせず自分中心のプロ野球中継だった。チャンネルを捻ると巨人戦。私はこのチームしかないのだと思っていたほど。当時、北海道のプロ野球中継は巨人戦が中心だったので、勿論必然的にファンになってしまったようだ。というよりさせられた?

国内旅行をするようになると、大阪ではタイガーズ、福岡ではホークス、名古屋ではドラゴンズに熱狂的であり、その地方に根ざしたプロ野球球団の存在がわかった。北海道に日本ハムファイターズが移転先を選んだことに衝撃を受け、今では、すっかり北海道の日本ハムファイターズとなっていて、私もにわかファンの一人である。

日本ハムファイターズ(日ハム)が北海道に本拠地を置く前の年、関空から北海道新千歳空港へ向かう飛行機の搭乗を待っていた関空での出来事。礼儀正しく身なりの良いスーツ姿の集団が、私達のすぐ側に陣取り搭乗を待っていた。ビジネスマンではなさそう、まさか暴力団?果たしてどういう集団なのだろうか。不思議な集団?という思いしかない。

「あっ、長嶋さんからメールが。」と聞こえた。どうやらプロ野球選手らしい。しかし、知らぬ顔ばかりでどこのチームなのかは全くわからない。飛行機に搭乗してまで私達の座席はその集団に囲まれていた。三人座りだったので、隣の女性が「何の団体さんなのでしょうね。」と尋ねてきた。「どうやらプロ野球選手のようですよ。どこのチームなのでしょうね。セリーグではなさそう。パリーグのオリックスでしょうか。関空からですから。」

私の座席の前に座っている外人さんが凄い指輪をしていた。手を上げた瞬間に「ニューヨークヤンキーズ」のマークが目に入り、強烈な印象を受ける。でも、どなたなのかはわからない。約2時間近く、スーツ姿の集団ご一行様は実に紳士的な振る舞いだった。飛行機から降り皆さんが専用バスに乗り込み、そこでやっと判明した。時すでに遅し、日ハムの選手たちだったのだ。

私の前に座っていたあの外人さんは当時のヒルマン監督で、ツルツルの方は稀哲さん(失礼)、そして、少々多弁だったのは新城さん。全く知りませんでしたパリーグの選手たちを。しかし、現在では北海道のチーム「日ハム」としてすっかり根付き、北広島市には新球場建設が進んでいる。

身近なところでは、シーズン券を購入し毎日のようにスタンドから声援を送っている友やキャンプ地沖縄まで駆けつけている友さえいるほど、熱狂的なファンが続々と北海道で生まれている。

コロナ禍の中、6月下旬から無観客試合でやっと始まりそうなプロ野球。今年も応援します「日ハム」を。

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この本のブックカバーは、休校中の中学2年生の孫が宿題と読書、そして手芸に明け暮れた中で贈ってくれたもの。リバーシブルのブックカバーに、「さすが私の孫、何と器用な子か。」と、親バカ成らぬ祖母バカぶりを発揮している。

先日、野村克也さんがお亡くなりになられました。ご冥福をお祈り申し上げます。

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