日記

「教誨師」堀川惠子著を読んで

読書が好きな娘に勧められ「教誨師」(きょうかいし)を購入。読み始めは、正直読み辛かったが、読み進んで行くととにかく重く深い、深いの一言だ。いつの間にか引き込まれていった。これまで、「教誨師」という仕事があることすら知らずにいた。初めて知ったことが多く、後半は涙があふれて残り4分の1くらいの死刑執行場面は読めずに閉じてしまう。未だ読めずにいる。

堀川惠子:広島県生まれ。ジャーナリスト。ノンフィクション作家。『死刑の基準ー「永山裁判が遺したもの』で第32回講談社ノンフィクション賞、『裁かれた命―死刑囚から届いた手紙』で第10回新潮ドキュメント賞、『永山則夫―封印された鑑定記録』で第4回いける本大賞、本書『教誨師』(以上、すべて講談社文庫)で第1回城山三郎賞などを受賞。ちょうど、この日記を記していた12月5日付新聞に、今年の第23回城山三郎賞は、2017年に死去した林新さんと妻の堀川惠子さん共著「狼の義 新犬養木堂伝」とあった。おめでとうございます。

「教誨師」とは

以下引用:拘置所という施設は、被告人が裁判の判決が確定するまで勾留される場所で、ほとんどは実刑判決決定後、すぐに刑務所に送られる。しかし、「死刑」判決を受けた者だけは処遇が異なり、彼らは死刑執行の日まで、そのまま拘置所に留め置かれる。教誨師はそんな死刑囚たちと唯一、自由に面会することを許された民間人だ。

間近に処刑される運命を背負った死刑囚と対話を重ね、最後はその死刑執行の現場にも立会うという役回り。一銭の報酬も支払われないボランティア。教誨師は拘置所で知りえた情報を口外してはならないと定められている。それは、家族や教誨師どうしの間であってもだ。:以上引用

教誨師「渡邊普相」は全国約1800人の教誨師のトップで拘置所側と緊密に連絡を取り合う総責任者だ。情報を閉ざす側に限りなく近い立場にある。堀川さんは、2年がかりで渡邊さんのもとを訪れ「死刑について誰よりも知り尽くしている人に、今さら賛成とか反対とか単純な質問をしても仕方がないと思います。」と、何の気なしに答えたことで、やっと口を開くようになってくれた。更に、密かに保存していた「教誨日記」の存在も明かされた。

彼は広島の山深い村にある戦国時代から続く由緒ある寺の次男坊であった。東京で僧侶篠田龍雄との出会いがあり、自らも僧侶として教誨師の道を歩みだす。あの広島原爆の被爆体験者でもあり、重なる偶然が幸いし一命をとりとめたが、それが彼の重い過去を背負う一因ともなっていった。

教誨師は主に宗教人、キリスト教仏教に従事る人が多いそうで、最近では新興宗教に関わる人もいるとか。しかし、2・3年で辞めてしまい、「渡邊普相」のように終生携わる人はまれだ。本書の死刑囚は仮名で登場する。教誨師「渡邊普相」との出会いで、当初、心を閉ざしていた彼等は次第に今現在をどう生きるか、それぞれ静かに時間が流れていく。

特に心に残ったところ、「本書」の中から:以下引用

○キリスト教でいう懺悔は、文字通り罪を悔いるということ。阿弥陀仏の懺悔は、『懺悔をしようとするが簡単には懺悔できぬほど愚かな私たち』という意味です。人間は弱い。人との出会いや置かれた環境によって、善人でも悪人でもなる。誰もが心のうちに拭い切れない煩悩を抱えている。はるか天上の阿弥陀仏から見れば、そんな人間は所詮みな悪人ということだ。まずは、自分の中にある「悪」、つまり目には見えぬ心の闇をしっかり見据えることこそ肝要。そのことに過去は問わない。ただ今をしっかり生きること。(篠田)

○死刑囚は、今、この瞬間は確かに生きている。が、明日には死んでいるかもしれない者たちである。日常の思考の大半が死で占められている彼らの進む方向は、大きく二つの道に分かれる。ひとつは、考えることを止めてしまうこと。すべての苦悩を忘れ、諦め、目の前で起きることのみを見つめて日々を淡々と生きる道である。

もうひとつは「残された時間を生きる意味」を見いだそうともがく道。もとより苦渋に満ちた己の生きざまに、苦しみは深まる。だが、深まる苦しみと比例するように、残された時間がより密度を増していくことも間違いない。今ある「生」もまた、「死」の側から眺めれば異なる輝きを放つこともある。:以上引用

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