「滝野すずらん丘陵公園」では例年5月末から6月上旬にかけてチューリップが見ごろを迎える。やっと、今年もそのシーズンとなった。地下鉄とバスを乗り継ぎ「滝野すずらん丘陵公園」東口にたどり着いた。北海道キャンピングフェアが同時に開催されていて賑やかである。
ゲートではパンジーとビオラがお出迎え
東口ゲートから入ると、まずたくさんの数のパンジーとビオラがお出迎えしてくれた。けれども、それにはあまり目もくれず、やはりチューリップである。185品種24万株のチューリップが今年もみごとな花をつけカントリーガーデンを彩っていた。東口ゲートからは虹色に埋め込みされた花壇が、南口ゲートからはランダムに埋め込みされた花壇でバリエーションを見せている。
若い家族連れがなんと多いことか。最近、私の行動範囲には年配者が多かったので、正直、新鮮な気持ちになり不思議だった。ゆっくり眺めていたところ、今回のお目当てはさらに「森の情報館」まで足を延ばしシラネアオイやスズランを見ることであった。
「森の情報館」を目指して
数種の「国営 滝野すずらん丘陵公園」のパンフレットを片手に「森の情報館」を目指し歩き始めたが、小道が多く良くわからない。スタッフの方にお聞きしたところ、「結構、距離はありますよ。」と教えて下さったが、シャトルバスには乗らずに何とか徒歩でと試みた。
起伏がありそれなりのコースである中心ゾーンの「こどもの谷」や展望台を巡るコースを通りぬけた。途中、数度シャトルバスが私を追い越して行った。誰一人行きかう人はいなかったので、少々心細い。最近、「札幌南区にヒグマ出没」のニュースを聞いているので、まさかとは思いながらも、一応山間部なので心して歩いた。
正直、もう少し標識があっても良いのにと思いつつ、心地よい風に吹かれ、ウグイスの声を聞き、小さなトカゲと思しき小動物が私の足元を横切りと様々な自然に触れていた。「森の情報館」の建物の屋根が見えた時、無事にたどり着くことができ安堵した。3~4キロメートルは歩いたかもしれない。
シラネアオイの群生地へ
「森の情報館」では山野草観察に目的をしぼり行動した。帰りは東口ゲートまでシャトルバスを利用することとし限られた時間の中で、足早にシラネアオイの群生地へ。土手にたくさんのシラネアオイを見ることが出来たが、その道すがらスズランを発見することは出来ずじまいであった。この辺りではないのかもしれない。残念ながら今日のところスズランはお預けとしよう。
シャトルバスを待つ間、ボランティアネイチャーガイドさんのお勧めで展示室を見学し、山野草の押し花の説明を伺った。私は山野草に詳しくはないが、名前にひかれヒトリシズカはわかるがよく似たフタリシズカもあることを知った。さらに、札幌近郊の山々に自生する山野草を図鑑を通して教えて下さった。
今回の体験で「森の情報館」に興味をもち次回はここを主に訪れてみたいと思った。
シャトルバスというと、マイクロバスのような小型バスを連想していたが、立派な大型バスであった。
東口ゲートに戻り、乗り合いバスを待つ間、朝素通りした、ゲート前のパンジーとビオラが植えてある大きな十数個の鉢をゆっくり眺めてみた。なんと、鉢の一つ一つがカレンダーになっていて驚いた。1月から12月分の大鉢、そして、それぞれ一鉢に30株近くのパンジーとビオラが植えられている。
だから、365種類のパンジーとビオラなのだ。その一株一株に花言葉が添えられていた。
心のこもったおもてなしとアイディアに拍手を贈りたい気持ちになった。
大渋滞で帰りのバスは、出発時刻が大幅に遅れました
後5分でバス時刻と思いバス停へ急ぐ。確かここが始発であるにも関わらず、定時を過ぎてもバスは来ない。私を含め30人近くの乗客は誰独りとして不平不満を漏らすことなく、ただひたすらバスの到着を待っていた。冬道なら未だしも、夏場には珍しいとつぶやきは聞こえた。
私の前に並んでいた二人の高齢の女性に「まだまだ、バスは来そうもないからベンチに座っていたらどうですか。」とやさしく声を掛ける中年男性。
20分遅れでやっとバスは到着した。運転手さんに文句を言うわけでもなく皆黙々とバスに乗車した。
しかし、運転手さんは小さな声で早口にバスの遅れを詫びていたが、その声には苛立ちを感じてしまったのは、私だけか。
逆方向の帰り道、この時季大人気の「滝野すずらん丘陵公園」は乗用車で渋滞していることがわかった。渋滞を横目で眺め、帰りのバスはスムーズに目的地へ向う。大勢の乗客を乗せたバスの運転手さんは先程の苛立ちを押さえ乗務していた。常に精神的冷静さを保つ大変な仕事である。降車時、「ありがとうございます。」と、言葉をそえた。仕事だから当たり前なのではないと思った。
「滝野すずらん丘陵公園」は6月上旬まで、チューリップと春の山野草が見ごろである。さらに、これから季節をおうごとにラベンダーやコスモスの盛りを満喫することができる。札幌は190万都市とはいえ少し郊外へ足を延ばすと、まだまだ自然がそのままの状態で残されていること事態驚きである。